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2025.09.02

またその話か”の先に、ほんとうの学びがある

――易経『地雷復』が教える、キャリアと人生を変える“繰り返し”の力


はじめに:成長したいのに、同じところでつまずく
「もっと自信をつけたい」 「人間関係、うまくやりたい」 「仕事も子育ても、もう少しスムーズにしたい」

そう思っているのに、気づくとまた同じパターンで落ち込んでいたり、 「前にも言われたこと」を繰り返して注意されたり。

「なんで私は変われないんだろう?」 そんなふうに、自分にがっかりしてしまった経験はありませんか?


『地雷復』の教え:繰り返すことで、道は開ける
『易経』第24卦「地雷復(ちらいふく)」の一節に、こんな言葉があります。

「反復のその道。七日未復。」
“復”とは、「戻ること」「繰り返すこと」。 一見同じことの繰り返しに見えても、続けていれば、7日(=1週間)で流れは変わる――そう説いています。

つまり、「もう一度やってみる」「また取り組む」ことの中に、 人生を動かす力が宿るということ。


キャリア理論でも、「繰り返し」が成熟をつくる
キャリア発達理論の代表的存在、ドナルド・スーパーはこう述べています。

「キャリアの成熟には、試行と繰り返しが欠かせない。」
人は人生の中で、働き手(worker)、親(parent)、学習者(learner)など、 複数の役割を同時に担っています。 特に育児と仕事を両立している時期は、そのバランスを日々模索する“成長期”です。

つまり、**「何度も同じことを繰り返しているように見える時期こそ、キャリアが育っているとき」**なのです。


【実話】「前にも聞きました」と思っていた私が変われた理由
❌ Before:「またその話か…」と心の中でつぶやいていた頃
ある日、上司からまた同じ言葉を言われました。

「報連相は丁寧にね。相手の立場になって考えることが大事だよ。」
私は育休から復帰して3ヶ月目。 毎日必死で仕事と家事をまわしていた私は、正直イラっとしていました。

(それ、前にも言われましたよ?) (私はちゃんとやってるし、何回も言われる筋合いないよ…)

その“受け止め拒否”の気持ちは、次第に態度にも表れ始めました。 上司の言葉に対して、表情が曇ったり、返事がつい淡白になったり。 心の中では「またそれか」「ちゃんとやってるのに…」という反発が強くなりました。 それが、無意識のうちに距離を生み、関係のぎこちなさにもつながっていったのです。


✅ After:「言葉は同じでも、聞く自分が違う」と気づいた日
そんな時、ふと目にしたのが「地雷復」の一文。

「繰り返すことで、道は開ける」
なぜかその日は、「また言われた」ではなく、 「またここから始めていい」と受け取れたんです。

それは、謙虚さや人から礼を受け取るという経験を通して、 「自分もまた、人に対してそうありたい」と思えたことがきっかけでした。

それから私は、何度でも「ありがとうございます、また意識してみますね」と返すようになりました。

すると、上司の反応も少しずつ変わっていきました。

「最近、安心して任せられる感じがあるね」 「ちゃんと受け取ってくれてるのがわかるよ」

“同じ言葉”でも、聞く“自分の姿勢”が変わると、世界が変わる。 それが、実感としてわかった瞬間でした。


「履」と「謙」を繰り返すということ
第1章で学んだ「履(てんたくり)」=礼儀・話し方・態度 第2章の「謙(ちざんけん)」=謙虚さ・感謝の心

そして第3章「復」は、それらを繰り返すことの大切さを教えてくれます。

礼儀を、毎日新しく。
感謝を、何度でも。
同じ言葉を、丁寧に繰り返す。
この小さな積み重ねこそが、“開運する体質”であり、“信頼される人”をつくっていくのです。


子育てでも同じ。「また同じこと言わせないで」と言ってない?
私たちは子どもに対して、ついこう言ってしまいます。

「何回言ったらわかるの?」 「また同じことで怒られてるよ」

でも、大人の私たちも―― 「知ってる」「前に聞いた」「わかってる」と言いながら、 同じことでつまずいていませんか?

大人こそ、繰り返しを受け入れ、 同じ話でも“新しい気持ち”で聞く力が必要なのかもしれません。


おわりに:「繰り返せる人」が、変わっていける人
一見、変わっていないように見える日常。 でも、あなたの中ではきっと、何かが育っています。

繰り返すことで、成熟する。 繰り返すことで、信頼される。 繰り返すことで、キャリアも人生も変わっていく。

明日また、同じ言葉に出会っても―― そのときのあなたは、きっと少し違う自分になっているはずです。

その一言が、明日のあなたを支えてくれるかもしれません。

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